幼い頃、よく4人で遊んだ。七海、鈴夏、ひかりのめんどうを見るのはいつも健次の役目だった。ときにはブランコの順番を譲ることも……。そんな健次をみつめるもう1つの目があった。石和多恵。健次より1つ年上の少女は、いつも弟たちのめんどうを見ていた。自分が遊ぶことも忘れて――。
学校では期末テストの結果が発表されていた。赤点だと、貴重な夏休みを補習授業にあてなくてはならない。しかし今年は、ボランティア活動として町内の清掃活動をすることによって免除されることにもなっていた。その清掃作業に顔を揃える健次と端野の赤点組。七海と鈴夏は、純粋にボランティア組だ。そして清掃活動を取り仕切るには健次の1つ先輩の少女、石和多恵だった。
健次たちは海岸の清掃活動を行っていた。想像以上に汚れてしまっている海岸を多恵は清掃の重点箇所としていたのだ。海岸には海水浴に来ていたひかりの姿もあった。それをみつけた健次が否応がなしにひかりを清掃活動に加えてしまう。そんな健次たちをよそ目に多恵は一生懸命なまでに海岸のゴミ拾いに精をだす。誰に褒められるというわけでもないのに……。
ふと回想がよぎる。弟たちのめんどうを見る多恵。母親のいない石和家では多恵が母親代わりだった。そんな多恵を褒める父親。ご褒美にと多恵にそっと1粒のキャンディを差し出す。でも多恵がほしかったのは、キャンディではなかった。弟たちのように甘えさせてほしい父親の手だった――。
そのとき、1つの手が多恵の頭をなでる……。

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