1990年代半ばにおけるインターネット、携帯電話の爆発的な普及に伴う情報化社会の到来は、さまざまなビジネスの有り様を変え、一般市民の生活様式にも多大な変化をもたらした。トレンドがめまぐるしく移り変わるハイテク業界では、生き馬の目を抜く競争は日常茶飯事。勝ち組として生き残った一部の有力企業は目障りなライバルを容赦なく蹴落とし、将来有望なベンチャーをのみ込んでぐんぐん巨大化していく。ジョゼフ・フィンダーの全米ベストセラー「侵入社員」は、そんな計り知れないほどの社会的な影響力を秘めるようになったグローバル企業のモラルに鋭く切り込んだサスペンス小説だ。もしも絶大な権力や富を持つリーダーが利益と野望のみを優先し、邪悪な違法行為に手を染めたらどうなるのか。ある日突然、産業スパイに仕立てられたひとりの若者の想像を絶する運命を描いて大反響を呼んだその物語の映画化が、この『パワー・ゲーム』である。