何百階層にも渡って重なり連なる居住区。其処に彼女は住んでいた。藤崎ルキノ17歳。ある朝彼女は久々の学校に向かう為、階層を網羅する交通機関“移動機筒”に乗り込むのだが…
貧民と精神病院の街138階層『コロバザジップ』、科学実験と研究者の街135階層『アベトジェクシ』、企業社宅と独身寮の街『ネクズロク』…様々な街を通過して上昇して行く“移動機筒”。乗り降りする多種多様な乗客達。そして囚人と監獄の街99階層『ビタガスコイン』。監視局の要請で緊急停止したこの階層で二人の囚人が乗り込んでくる。帯谷ジタコック、寺ノ内カルピコ。これをきっかけに引き起こされる未曾有の大惨事。
同じ“移動機筒”に居合わせた8人に襲いかかる突然の惨劇!!ルキノの脳に流れ込むノイズ。呼び起こされる過去。記憶。潜在能力。閉塞空間の中、ルキノの精神感応能力によって暴き出される乗客達の精神世界。
真実とは何か?常識とは何か?その基準は何処にあるのか。予測不可能な展開の中、ルキノと乗客達は極限状態に追い込まれて行く。世界の果てとは?テロリスト集団?殺人ウイルス?
そして“移動機筒”は愚者の壜詰へと変貌する─。