本作の原作『A Tale of Love and Darkness』は、イスラエルの作家・ジャーナリストとして知られるアモス・オズ(1939-2018)の自伝的著書。幼少期のアモスが両親と過ごしていた頃の体験がもとになっており、のちにパレスチナ問題の論客として知られようになる作家にとって、母親の存在の大きさ、その影響の強さを物語る内容となっている。主演のナタリー・ポートマンはアモスの母親ファニアを演じたほか、監督と脚本を務める。原作との出会いは劇場公開の約7年前にまでさかのぼり、「初めて読んだときから、この本を映画化したいと思った」と語るように待望の映画化となった。「母親の死から生まれた空虚によって作家が誕生した瞬間を描く作品」と語るナタリー。さらに、原作者については「アモスの著作で素晴らしい点は、人生で出会った人たちへの愛、共感、感情が書かれていることで、登場人物たちを多面的に描くことができている」と絶賛する。