“もしあなたがこの映画を観て、GGアリンのお母さんを抱きしめたくならなかったら、あなたには<心>が無いということ。
崖から飛び降りるべきだ。” -the void report
ロック史上最大の破壊者GGアリン。遺された家族の信頼と絆の物語。
米ニューハンプシャー州でとんでもない父親によって「ジーザス・クライスト・アリン」というイエス・キリストと同名の出生名で誕生、その後究極の破滅型ヴォーカリストとしてその名を全世界に轟かせたGGアリン。ライヴで大流血、汚物を撒き散らして客に襲いかかり、通報されて警察から全裸で逃走するなど狂気の大スペクタクルを展開して「ロック史上もっとも見事な変質者」と評される、全身でハードコアを体現したパンクロッカーである。そんなGGアリンが93年にヘロインの過剰摂取でこの世を去って以降、世界中のファンが追悼で墓を訪れ汚物を撒いて帰っていく。本作はGGのバンド、THE MURDER JUNKIESのメンバーであった兄のマール・アリンがGGの遺志を受け継ぎ音楽活動や汚物アートに勤しむ様子と、どんなに狂っていても温かい眼差しで子供たちを支える母親アリータの、一家がたくましく強く生きる模様を描いた、まさかの感動のドキュメンタリー。監督は2003年作『メイキング・オブ・ドッグヴィル~告白~』ほか、数々のドキュメンタリーを手掛けるサミ・サイフ。GGアリンという無類のキャラクターゆえに、過激な方向にスポットが当たりがちだが、<家族の物語>という主題をブレることなく、誠実かつ優しいトーンで描き、珠玉の記録映画を作り上げた。