ラモーンズが数々の映画出演オファーを断りながらも唯一出演したロック映画の決定版。B級映画の首領ロジャー・コーマンが『ディスコ・ハイ』というタイトルで映画を企画、『ハリウッド・ブルバード』(76)『デススポーツ』(78)を手掛けたコーマン門下生アラン・アーカッシュ監督が「ディスコに合わせて高校を爆破することはできない」という明快な理由を提示、コーマン納得の痛快ロック・ムービーが誕生した。原案はアーカッシュと『ピラニア』(78)のジョー・ダンテ。撮影は『ハロウィン』(78)『遊星からの物体X』(82)や『バック・トゥ・ザ・フューチャー』シリーズを手掛けるディーン・カンディ。トッド・ラングレンが出演を断ったのち、チープ・トリックを考えていたコーマンにラモーンズを推薦したのは出演者でもあり、『デス・レース2000年』(75)『フライパン殺人』(82)の監督のポール・バーテル。のちにトッド・ラングレンはオファーを蹴ったことを後悔、落ち込んだ。ラモーンズはメンバー全員大のコーマンファンにて出演を快諾、LAのライヴハウス"ROXY"で実際に客を呼んでの早朝07:30~夜中の01:00までの過酷な撮影をこなした。劇中でラモーンズはライヴを披露するほか、オープンカーに乗りながらの演奏、シャワーを浴びながらベースを弾き、楽屋でピザを頬張り、台詞まであるという大活躍。『キャリー』(76)『ハロウィン』(78)のP.J.ソールズが女子高生リフ・ランデルを熱演。そのほかコーマン門下生ロン・ハワードの弟で『デビルスピーク』(81)『処刑ライダー』(86)のクリント・ハワード、アンディ・ウォーホル・ファクトリー出身で『爆走!キャノンボール』(75)『ハリウッド・ブルバード』(76)のメアリー・ウォロノフ、『白昼の幻想』(67)『ビッグ・バッド・ママ』(74)のディック・ミラーなどコーマン組大挙出演。悲惨な男子高校生を演じたヴィンセント・ヴァン・パテンはプロテニスプレイヤーとしての顔も持ち、81年には東京での大会でジョン・マッケンローに勝利するという輝かしい戦績を誇る。ライヴ会場の観客のなかに映るのは伝説のLAパンクバンド、ジャームスのダービー・クラッシュとローナ・ドゥーム、巨大ネズミは『モンスター・パニック』(80)『ハウリング』(81)『ロボコップ』(87)など特殊メイクの名手ロブ・ボッティン。ラモーンズの乗る車はLAのラジオ局KROQのDJロドニー・ビンゲンハイマーが運転している。サウンドトラックには大量のラモーンズ楽曲のほか、アリス・クーパー、ポール・マッカートニー&ウィングス、ディーヴォ、ヴェルヴェット・アンダーグラウンドなどの曲が使われまさにロックまみれ。ラモーンズ、ロック、学校、爆発というこれ以上望むことは不可能な要素を完璧にコーマン品質で組み合わせた『ロックンロール・ハイスクール』は<ロック・ムービー>というものが成し得ることができるものすべてを備えた映画となった。