肉体の門

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肉体の門

これは、肉体文学の最高峰として戦後一世を風靡した田村泰次郎原作の映画化。 日本の性風俗の革命ともいえる原動力を秘め、映画に舞台に歌に荒廃した人心に新しいエネルギーを与えた意義深く…

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本編

肉体の門

肉体の門

  • 90分 
  • 3日間 330 pt 〜

生い繁る夏草と瓦礫の山。闇市から流れてくるレコードの「リンゴの歌」。空にひるがえる星条旗。敗戦に虚脱し、つかれ切った男たちの間に、毒々しい悪夢の花を咲かせる女ーパンパン・ガール。 十七才のマヤが、ある国電の駅のまわりをショバにかせいでいる関東小政ことおせんのグループに仲間入りしたのも、彼女が闇市で十円のふかしイモを盗んで、地回りの阿部にっかまったのを救ってやったことからだった。 空襲で親を、ボルネオの戦地でたった一人の兄を失なった孤独なマヤは、親類のところにも居ずらくなって、盛り場をさまよっていたとき、外国の兵隊に処女の蕾をむしられてしまった。彼女は、これから自分自身の肉をきりきざんで生きてゆくしか途はなかったのだ。 メチャクチャになった焼ビルの地下室が、小政のねぐらだった。すばしこそうなジープのお美乃、見るからに楽天家のふうてんお六、ひとりだけ和服で奥様風の町子――それぞれさまざまな過去を背負い、あてなき明日のため生きぬく女獣どもだ。 その夜から、マヤは通称ボルネオ・マヤと呼ばれる夜の女に生まれかわった。大ぜいの男が、彼ある夜、お客をキャッチしたマヤは、連れこんだ防空壕の中で、とんだ先客と鉢合わせしてしまった。汚れた戦車帽、復員姿の新太郎だ。彼はマヤの客をおどして、金をまきあげると悠々と立ち去った。 闇市ではきょうも仲間の掟を破った夜の女が一人、丸坊主にされ、服をはぎとらとられてリンチを受けていた。彼女らの間には、よその女に自分らの縄張りを荒させない、ただで男と寝ないという恐ろしい二つの掟が生きていたのだ。 小政は、そのころ彫留の家で、左の腕に彫った「関東小政」のいれずみを仕上げていた。 焼ビルに帰った彼女が、その刺青をほこらし気に見せびらかしていると、闇市でまた大騒動がもちあがっていた。一人の復員男が進駐軍の兵隊を半殺しにしたというのだ。MPと警官が右往左往する中で、小政がある男をつかまえた。安ホテルの一室で、彼女はその鋭どい目つきから不吉な殺気を感じていた。MPの捜さくがはじまると、男は窓から消えた。 だが、男はそっとかえってゆく小政のあとをつけると、地下室に転がりこんできた。右脚の大きな傷口から血をしたたらせて........兵隊を刺したのは新太郎なのだ。 ーー新太郎の傷はまるで獣のなおりかたのようによくなっていった。そして、いつしか酋長のように、彼女たちの中心に存在するようになっていた。すさんだ生活をしていても小政たちはやっぱり女だった。たくましい男を見ているうちに、いつしか愛に似た感情がみんなの間に湧いてくるのをどうしようもなかった。 そんなとき、町子が小笠原というなじみ客と結婚の約束をし、代償なしに身体を与えていることがバレてしまった。怒り狂った小政は、町子を地下室に宙吊りにすると、メチャクチャにリンチを加えた。マヤも夢中で棒きれをふりまわした。最後に、寄ってたかって町子を丸坊主にしようとしたとき、新太郎にさえぎられた。彼も戦時中ふるった数々の暴力の思い出にどうしようもなかったからだ。こうして町子は追放された。 すさまじいリンチはマヤの身体に忘れていた女の生理を復活させた。子供から一度に女になった彼女の眼は次第に新太郎に強烈にひきつけられはじめていた。 元気になった新太郎は夜の町に出ると新興成金から金を奪い、酔っぱらいから衣服をはぎとり、兵隊を殴り倒して金目のものをかっさらった。だが、一方、彼はどこかに進駐軍のペニシリンをもかくしていた。小政の口ききで、新太郎は阿部と兄貴分の石井に、それを売りつけることになり、現物と引きかえに莫大な前金を受けとった。祝い酒に酒に酔った新太郎は、町子に出合い、そのままホテルにしけこんだ。そのかえり道、彼は焼跡につなぎ忘れた牛を地下室にひっぱってきた。久しぶりのご馳走だ。その夜は、カストリとスキヤキの乱痴気さわぎが一晩中つづいた。新太郎も、小政も、マヤ、お美乃、お六もタラフク飲み、食い、歌い、踊った。つかれ果ててひっくりかえった新太郎に、にじり寄った小政が燃える肉体を求めたが、彼は小バカにしたように拒絶した。マヤも燃えていた。彼女は、ねむりこけた新太郎をひきずって、近くの廃船の中にはこびこむと、はげしく愛撫を求めた。彼も激情にかられて、若いカモシカのようなマヤの身体を抱いた。「マヤ、俺と出てゆくんだ、二人で新しく出直すんだ」二人の愛情には真実の光があった。新太郎は、彫留の家にかくしてある金や身のまわりのものを受取って、七時に橋の傍で待ち合わせる約束をした。だが、この様子を嫉妬に燃えた小政がぬすみ聞きしているのは知る由もなかった。 小政は、阿部と石井に、新太郎のペニシリンはインチキだと密告してしまった。 地下室では、下着一枚に剥がれたマヤが宙吊りにちれ、小政たちから縄のムチを浴びせられた。悲鳴が流れ、血がほとばしった。しかし、マヤの表情は、はげしい苦痛から次第に純愛を貫いた歓喜のそれにかわっていった。涙が微笑にかわり、その瞳がはるかな空の夢をつかまえたとき、彼女は気を失なった。 一方、新太郎は焼跡の道を石井、阿部の一団と、MPと警官に追われていた。彼は必死に逃げた――“生きたい、マヤと生きぬきたい!!"と心の中で叫びながら......が、堀割にかくれた新太郎の身体に、ついにMPの容赦のない弾丸が蜂の巣のように食いこんでゆくのだった。 マヤは彼の死を知らない。彼女は、愛憎の思い出にくれた地下室と、途中で合った町子に別れを告げて、新太郎との約束の場所に傷だらけの身体をひきずってゆくのだった.....

PV

『肉体の門』シリーズ