学園広場

東京からこの街の学校へ転校してきた山内修二は、この学校に伝統として受け継がれている風習に義憤めいたものを感じた。 それは、ボロボロになった帽子である。この学校の開校以来、校内で一番勇気のあることをした者に与えられる"勇者の帽子"である。 現在は上級生の古山がその帽子をかぶっていた。 古山は取りまきの佐伯、立花、三村などと、今年は誰にこの栄光(?)ある帽子を譲ろうかと相談していた。 その結果、この街の有力者で、街の中央にレストランナポリを経営している隅田が、最近、名物にしようとして立てたヌード画の看板にペンキで服を着せたものにということになった。 意義のある美談ならいざ知らず、悪質なイタズラをもって勇気とする古山たちに、修二は怒りを感じるのだった。 だが、そんな山内とは反対に"勇者の帽子"を欲しがるグループの一人、松原は、深夜ひそかにペンキを持ってヌード画の看板に迫ったが失敗した。 その頃、古山は大切な帽子が紛失しているのを知って蒼くなっていた。