龍珠伝 ラストプリンセス

第20話

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あらすじ

オボイは憤っていた。屋敷の周りには多くの侍衛がいたはずなのに、慈ケン(じけん)らによる襲撃の最中、誰一人として駆けつけてこなかったからだ。ソンゴトゥに対し、予め襲撃を知っていただろうと問いただすオボイ。しかしソンゴトゥは、密書を盗みに入ることまでは聞いていたが、格闘になるとは思わなかったとシラを切るのだった。私怨を捨てて協力を頼んでいるのに少しも聞く気のない彼に業を煮やしたオボイは…。

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本編

第1話

第1話

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晋王・李定国(り・ていこく)は、清国に寝返った呉三桂(ご・さんけい)の軍勢に取り囲まれていた。今まさに明王朝の灯火が消えようとするなか、彼は皇太子の誕生に国家存続の望みをかけ、兵たちに城壁の死守を命じる。明の皇帝・朱由榔(しゅ・ゆうろう)も「赤子が娘なら、自らあの世へ旅立つ」と覚悟を決め、世継ぎ誕生の知らせを待っていた。やがて響いた運命の産声――皇后に付き添う侍医・樊離(はん・り)の腕の中にいたのは…。
第2話

第2話

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師匠から与えられた課題をこなした慈ケン(じけん)たちに、最初の任務が与えられた。1つは、崇禎(すうてい)帝が残した銅箱の奪還と、それを開けるための鍵を捜し出すこと。銅箱には崇禎帝の財宝の隠し場所や、秘密基地の資料と各地に潜む明の志士たちの名簿が収められており、現在は清軍の手中にあるのだという。そして2つ目は、清に内乱を起こさせるため、康熙(こうき)帝と実権を握るオボイの溝を深めることだった…。
第3話

第3話

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易歓(いかん)と慈ケン(じけん)は、連れ立って紫禁城へとやってきた。明の皇太子としての気概にあふれる慈ケンは、いつか必ず紫禁城を取り戻して、易歓を皇后に迎え、この宮城に住むのだと息巻くのだった。対する易歓にはまったくそんな気がないばかりか、なぜ皆が明の復興にそこまでこだわるのかと、首をかしげる始末。その後、慈ケンと別れ、1人で街をぶらついていた易歓は、乱暴に走り去る豪華な馬車を目にし…。
第4話

第4話

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李定国(り・ていこく)の息子・嗣興(しこう)の行方を聞き出すため、かつての彼の腹心で現在は清の知府を務める孫福(そん・ふく)を捕らえることに。慈ケン(じけん)、傾城(けいせい)、倩影(せいえい)、黙声(もくせい)の4人は、孫福が夫人とともに訪れる予定の水月庵へ向かい、易歓(いかん)は逃走用の舟の番を任される。自分だけ留守番となり不満を漏らす易歓。そんな彼女に、1人の男が舟を出すよう声をかけてきて…。
第5話

第5話

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孫福(そん・ふく)を連れ去ったあと、周りの目を欺くために黙声(もくせい)が孫福に成りすますこととなった。顔も声もすべて完璧な黙声の変装に、この策を練った易歓(いかん)も感嘆の声を上げるのだった。誰も気づく様子がないのをいいことに、易歓と黙声は春風院にある財物をすべて奪い去るという大胆不敵な行動に出た。上機嫌で春風院をあとにした2人だったが、元州から5里ばかり進んだ所で馬車が急に停まり…。
第6話

第6話

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孫福(そん・ふく)をどこに連行したのか――オボイの尋問は続いていた。自分を睨みつけるオボイに恐怖を感じる易歓(いかん)ではあったが、ここで殺されるわけにも正体を見破られるわけにもいかない。彼女は知恵を巡らせ、真実を巧妙に織り交ぜながら、でたらめな証言をする。この作り話に不信感を抱きつつも、オボイと春風院の女将はまんまと騙されてしまうのだった。その頃、易歓が失踪したことを知らされた康熙(こうき)帝は…。
第7話

第7話

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易歓(いかん)は、秀女としての所作を身につけるべく稽古を課されていた。慣れぬ履き物で2刻も歩かされ嫌気が差した彼女は、勝手に休憩したり、後宮の規則を逆手に取ってたびたび稽古を中断させる始末。ふざけた態度に腹を立て、易歓を杖刑に処そうとする劉(りゅう)。慌てた易歓は、後ろ盾となるオボイの存在をちらつかせ、難を逃れるのだった。一方、侍医・李剣卿(り・けんけい)として皇宮に入った慈ケン(じけん)は…。
第8話

第8話

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龍三(りゅう・さん)と会うための策として、易歓(いかん)は彼の名を書いた天灯を空に飛ばした。その夜、天灯を見て彼女の意図に気づいた龍三が。後宮に入ってからというもの、やっとの思いで果たした再会だった。彼の前ではずっと男のフリをしていた易歓だったが、どうやら途中で見抜かれていたらしい。なぜこれまで姿を見せなかったのかと尋ねる易歓。龍三は、“陛下に極秘任務を任され、数日留守にしていた”と答えるが…。
第9話

第9話

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サイコロ遊びで無類の強さを誇る易歓(いかん)の戦略にはまり、康熙(こうき)帝は連戦連敗。罰として大量の酒を飲むはめになった彼は、とうとう酔い潰れてしまうのだった。おかげで易歓は、無事自分の居所へ戻ることができた。しかし、付き添ってくれた李(り)太監の耳の後ろにあるほくろを目にした彼女は、あることに気づく。そのほくろはオボイと密会していた太監にもあったもの。つまり、李もオボイの間者だったのだ…。
第10話

第10話

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李(り)太監を抱き込み、眠り薬を仕込んだ手巾を寝宮に持ち込んで皇帝を気絶させた――易歓(いかん)が自分の行いを“龍三(りゅう・さん)”に打ち明けたのは、彼を信頼する弟分だと思っていたからこそだった。もちろん、その弟分が皇帝本人だとは夢にも思っていない。対する龍三こと康熙(こうき)帝は、その事実を聞くや否や険しい表情を浮かべた。易歓の無謀さを案じた彼は、そんな真似はするなと忠告するのだが…。
第11話

第11話

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六師匠と傾城(けいせい)が襲われた。自分たちを襲撃した2人の黒衣の男のうち、片方は体型や目つきから、李(り)太監だろうと推測する六師匠。この一件は、易歓(いかん)に皇帝の寵愛を独占させるための策として、オボイが李太監に命じたに違いない――そうにらんだ慈ケン(じけん)は、事件とオボイの関連を探ると六師匠に約束するのだった。一方、易歓はケガを負った傾城が、うわ言で慈ケンを呼ぶ姿を見て不憫に思い…。
第12話

第12話

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悪事を働くオボイを排除すべく、康熙(こうき)帝は大臣らから出された奏状を突きつけた。己を弾劾する内容を一瞥したオボイは高らかに笑い、“すべて事実無根だ”と言い放ち、奏状を康熙帝の目前で破り捨てる。彼の不遜な態度に怒り心頭の康熙帝は覚悟を決め、茶杯を壁に投げつけた。それを合図に、御書房内へ侍衛らがなだれ込む。康熙帝とオボイの戦いが始まったのだ。その頃、龍三(りゅう・さん)の身を案じる易歓(いかん)は…。
第13話

第13話

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オボイ府の隠し部屋の扉には複雑な仕掛けが施されていた。中に目当ての銅箱がある可能性は極めて高い。易歓(いかん)は天に祈りつつ仕掛けの攻略に挑むのだった。一方、慈ケン(じけん)は、李定国(り・ていこく)のもとへ現状の報告に来ていた。銅箱の確保も時間の問題で、倩影(せいえい)と黙声(もくせい)が鍵を手に入れれば明復興の大業を成す日も近いと声にも力がみなぎる。ところが、定国はなぜか浮かない顔で…。
第14話

第14話

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康熙(こうき)帝は、太皇太后に召された易歓(いかん)と連れ立って慈寧宮へ。毒酒を賜ることになるのではと心配する易歓をひとまず外で待たせ、先に太皇太后の前に進み出る康熙帝。一方の易歓は、康熙帝から安心せよと言われたものの気が気ではない。もし彼が説得に失敗したら逃げる心づもりだ。居所に残してある銅箱や宝物は惜しいが命には代えられないと腹を括った彼女は、状況次第ですぐに動けるよう中の会話に耳をすませ…。
第15話

第15話

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易歓(いかん)は太皇太后から出された3つ目の問いの答えを導き出せずにいた。刻限までに答えられなければ、杖刑が待っている。しかし大人しく罰を受ける気などない彼女は、ダメなら逃げ出す腹積もりだった。うまく理由をでっちあげ、外で考えたいと申し出た易歓。そんな計略が練られていると知る由もない太皇太后は、その願いを聞いてやるのだった。これで慈寧宮から抜け出せると思った矢先、康熙(こうき)帝が易歓を呼び止め…。
第16話

第16話

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オボイの屋敷から、彼に宛てたと思しき密書が多数見つかった。差出人が大臣たちと知って慈ケン(じけん)はほくそ笑む――康熙(こうき)帝がこの一件の調査に乗り出し、朝廷が大混乱に陥れば、彼にとっては好都合なのだ。ほどなくして複数の大臣のもとに、康熙帝から宴への招待が。何か裏がありそうだと訝しむ慈ケン。その予感通り、始めこそ和やかに始まった宴の雰囲気は、“見せたい余興がある”という康熙帝の言葉で一変し…。
第17話

第17話

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易歓(いかん)と康熙(こうき)帝が抱き合うのを目にし、心中穏やかではない慈ケン(じけん)。一方の易歓は、龍三(りゅう・さん)のことは弟分としか思っていないと訴えるが、慈ケンからから一定の距離を保つよう忠告されたうえに、傾城(けいせい)にも皇帝への好意は捨てなさいとたしなめられ、言いがかりだと憤慨するのだった。そこへ康熙帝が。刺客に襲われ負傷した傾城を気にかけ、詫びとして麗嬪に封じた康熙帝は、その場で彼女に夜伽を命じる。それを聞いた易歓は…。
第18話

第18話

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オボイは銅箱の秘密のすべてを康熙(こうき)帝に語った。反清勢力の秘密拠点や朝廷内に潜む逆賊の名が記された名簿が存在するというのは、康熙帝にとって朗報である。しかし、横でこの話を聞いていた易歓(いかん)は気が気でなかった。問題の銅箱を持っているのは自分自身、捜索の手が伸びてこないとも限らない。一刻も早く対処する必要があると悟った易歓は、持病の頭痛の発作を装って銅箱を隠してある永楽斎に戻ろうとするのだが…。
第19話

第19話

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オボイの持つ情報網が気になるが、調査に関しては一任すると約束した以上、手を出すわけにはいかない。そこで康熙(こうき)帝は、オボイの密偵たちについての情報を得るため易歓(いかん)ら兄妹に見張りを命じる。それを知った太皇太后は、もともと都の者でないうえに、どこか疑わしい点がある2人を使うことに一抹の不安を抱くのだった。すると李(り)太監は、兄妹の素性を探ることも兼ねて自らがオボイ府に出向くと申し出て…。
第20話

第20話

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オボイは憤っていた。屋敷の周りには多くの侍衛がいたはずなのに、慈ケン(じけん)らによる襲撃の最中、誰一人として駆けつけてこなかったからだ。ソンゴトゥに対し、予め襲撃を知っていただろうと問いただすオボイ。しかしソンゴトゥは、密書を盗みに入ることまでは聞いていたが、格闘になるとは思わなかったとシラを切るのだった。私怨を捨てて協力を頼んでいるのに少しも聞く気のない彼に業を煮やしたオボイは…。