ハノイを舞台に、満たされない想いを抱えながら彷徨う現代のベトナム人女性を描いた、第66回ヴェネツィア国際映画祭の国際批評家連盟賞受賞作。満たされることのない人間の孤独や欲望を表現し、登場人物がそれぞれ抱える心の乾きが、湿度の高いベトナムの風景や水の流れなど美しい映像と共に描かれる。
脚本を第30回東京国際映画祭のCROSSCUT ASIA 部門で「大親父と、小親父と、その他の話」が上映された、ベトナムの鬼才ファン・ダン・ジーが担当。主人公・ズエン役にドー・ハイ・イエン。17歳の時にトラン・アン・ユン監督の「夏至」(2000)に出演し女優デビューし日本でも公開された『モン族の少女 パオの物語』では主演のみならず、プロデューサーも務めた。
ズエンの親友カム役にリン・ダン・ファム。カトリーヌ・ドヌーヴ主演の『インドシナ』(1992)で王女役でデビューし、『真夜中のピアニスト』(05)『ミスター・ノーバディ』(09)など出演するベトナム系フランス人。トー役のジョニー・グエンはハリウッドで『スパイダーマン2』(04)のスーツ・アクターもつとめたアクション俳優。「ベトナム映画祭2018」
でも上映された『The Rebel 反逆者』ではゴ・ダイン・バン演じる女性レジスタントを助ける主人公を演じ、兄でプロデューサー・監督のチャーリー・グエンと共ベトナム・アメリカ両国で活躍中である。
スタッフ・キャスト共に国際的に活躍するメンバーが揃った、娯楽映画中心のベトナム映画では数少ないアート作品です。