「自分を撮る」ということ
自身の体験をもとにシナリオを書いた「十八才」は、タイトル通り高校生が主人公。交際100日を記念して海辺の街に旅行に出かけた男女が、帰宅後、双方の両親立ち合いのもとに「大学に合格するまで会わない」と約束させられる。年齢的には大人の入り口に立ちながらも、親たちの許可なしには愛する人とともにいることさえままならなない高校生たちの心情が瑞々しく描かれている。自分自身をモデルとする主人公に対する視線は、感傷的にも、エモーショナルにもなり過ぎず、抑制された語り口で映画を進めていくスタイルがすでに確立されていることにも驚かされる。悩みに悩んだ末に出会ったという主演のソ・ジュニョンもすばらしい演技を見せ、ソウル独立映画祭独立映画スター賞を受けた。
「十八才」で10代の自分を描いたチャン・ゴンジェは続く「眠れぬ夜」(12)で、撮影当時、30代だった自分と妻の関係に目を向けた。ポルトガルのペドロ・コスタ監督の作品に刺激を受け、「カメラ1台あれば映画を作ることができる」と、少人数のスタッフ、キャストとともに自宅で撮影を開始。事前にシナリオを作らず、テーマを決めてキャストと討議し、リハサールをしながらセリフを作っていったというこの作品は、結婚2年目、新婚気分の残る夫婦の日常を至近距離から見つめる。ドラマ『イカゲーム』で広く知られる前のキム・ジュリョンとリュ・スンワン監督作品で知られるキム・スヒョンが、リアリティのある演技を見せている。