十二国記

第三十五話 「風の万里 黎明の空」十二章

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あらすじ

陽子が瑛州から和州へと旅していた間に、何者かによって里家が襲われ、蘭玉が命を落とす。遠甫の行方は分からず、ひとまず瀕死の桂桂を金波宮へと運ぶ。陽子は里家を襲った人物の手掛かりを掴むため、以前遠甫を訪ねて来た、怪しい男の仲介役だった労の家に向かう――。一方桓タイ達の仲間となった祥瓊は、乱を起こす軍資金を得るため冬器の荷をある場所まで運ぶよう頼まれる。また、鈴も虎嘯から冬器を購入して来て欲しいと運び役を頼まれていた。

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本編

第四十一話 「東の海神 西の滄海」一章

第四十一話 「東の海神 西の滄海」一章

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尚隆が雁国の王、延王として登極し二十年。一度滅んだともいえる程のすさまじい荒廃が見られた雁国だったが、大地には緑が増え何とか復興に向かいつつあった・・・。その頃雁国にある州の一つ、元州が謀反を起こそうとしているという噂がたちはじめていた。内乱になるのかもしれない、もともと慈悲深い生きものである麒麟の六太は心を痛めていた。戦は大人だけでなく、子供たちまで不幸にする―――。ふいに六太は、昔元州で出会った妖魔に育てられた少年、更夜のことを思い出す。
第四十二話 「東の海神 西の滄海」二章

第四十二話 「東の海神 西の滄海」二章

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更夜の手により元州に連れ去られた六太は、角を封じられ、元州牧伯・驪媚と共に牢に囚われた。それはすべて当時元州を束ねていた斡由の差し金だった。斡由は、麒麟が選んだ王が玉座につくのは間違いだといい、王の全権を官に譲れ、そう六太に主張した。このままでは尚隆と斡由の戦いは避けられないと六太は感じ、元州夏官の射士となっていた更夜に斡由を止めてくれと頼む。しかし更夜にとって斡由は、ひとりぼっちで居場所のなかった自分に、居場所を与えてくれた恩人だった。
第四十三話 「東の海神 西の滄海」三章

第四十三話 「東の海神 西の滄海」三章

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尚隆が王になる前の荒廃する雁国で、斡由は元州の民のためにと父である州候・元魁から位を奪い、そして民を守った。元州だけが豊かだった―――。しかし、延王・尚隆がたち他州が潤い、元州との差はなくなっていった。元州をもっと潤わせるため、自治を取り戻そうと六太を捕虜とした斡由は、王位を簒奪する逆賊とうつった。それは、関弓を出て元州に着いた志願兵の軍が二万を超えていたことより明らかだった。一方六太は、看病をしていた女官・銘心から地下の道を使い逃げるようにと言われる。
第四十四話 「東の海神 西の滄海」終章

第四十四話 「東の海神 西の滄海」終章

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女官の助けにより抜け出した六太は、抜け道である地下道で迷っていた。そこへ元州大僕らが六太を探しに来た。その部下の声に、六太は目を見開いた―――。一方、漉水をはさみ頑朴対岸にとどまる王師と兵卒らは、土嚢を積みあげ堤を築いた。上流で降り出した雨に漉水の水かさは増し始めている。堤のおかげで川の氾濫の心配はない、そう民達は安堵していた。しかし、漉水上流・新易にある北囲の廬に、斡由の命により州師が乗る騎馬二百騎があらわれ、突如築き上げた堤を切り始める
第四十五話 「東の海神 西の滄海」転章 <終>

第四十五話 「東の海神 西の滄海」転章 <終>

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陽子は、延王・尚隆が話してくれた「もう一人の俺」斡由との過去、その話の意味をもう一度振り返っていた…。六太の使令・悧角によって倒された斡由。一方更夜は、「ろくた」を止めた。そして瀕死の斡由にとどめをさしたのは、尚隆だった――尚隆は更夜に「ろくた」と更夜が暮らせる場所、妖魔が追われることのない国をつくると約束する。更夜は、雁がそんな国になるまで黄海で待つといって去っていった。それから数百年、更夜はいまだ尚隆と六太の前には現れていない。