黒澤明監督『影武者』から 40年。『平成ガメラ』シリーズや『デスノート』で知られる金子修介監督が、『影武者』の池辺晋一郎を音楽に迎えて製作した本格戦国時代劇。本物の甲冑、旗、木曽馬を使い、武将の髷(まげ)をはじめ、衣裳や所作に至るまで、戦国時代の再現を試みた。
主演の寺田農は、相米慎二監督『ラブホテル』以来33年ぶりの主演作。寺田の演技は、まるで信虎が乗り移ったかのような迫力に満ちている。谷村美月がヒロインのお直を美しく演じるほか、永島敏行、榎木孝明、渡辺裕之らのべテラン、矢野聖人、荒井敦史、石垣佑磨の若手という豪華な布陣となっている。
撮影は、『恋人たち』の上野彰吾、衣裳の宮本まさ江、特殊メイク・かつらの江川悦子、VFXのオダイッセイら、 日本映画の最高の叡智を結集した。また武田家考証には、武田氏研究の第一人者である平山優を起用した。
本作は歴史美術研究家の宮下玄覇が、武田家の物語の映画化を構想したところから始まった。軍学書「甲陽軍鑑」を元に、共同監督である宮下自身が脚本を執筆し、共同監督を務めた。黒澤明監督『影武者』『乱』のオマージュとして、新たな視点での戦国時代劇の構築を目指した。
本作は『影武者』の織田信長役でデビューした隆 大介の遺作であり、彼に捧げられている。