注目の実力派俳優 福地桃子×寛一郎
どんな言葉でも名付けられなかった感情のかたち
それぞれの孤独を抱えた者たち。ある女性はアロマンティック・アセクシャルであり、恋愛というものに実感を覚えられないまま、唯一の理解者と思えた相手との結婚を決める。彼女のパートナーになったはずの男性は、自らの内に激しい欲望の渇きを隠していた。そこにもうひとり、社会的な成功を手に入れながらも、実はある秘密と葛藤を抑圧させて生きる者が現れる。すれ違い、傷つけ合いながら、個として必死につながろうとする三人。自分の居場所を探し続ける彼らの存在、そして“生と死”を超えた関係性は、果たしてどこに向かうのか――。
等身大の日常を見つめながら、まったく新しい領域に踏み込む傑作が日本映画界から登場した。これはラブストーリーなのか、ヒューマンドラマなのか。ここで扱おうとするのは、どんな言葉でも名付けられなかった感情のかたち。現実の隙間から雫のようにこぼれ落ちる、焦燥や絶望、生きづらさの滴りを、この映画はどこまでも丁寧に掬い取っていく。その繊細な作業の徹底性こそが、我々を一筋の光が差す希望の在り処へと導いていく。
主演を務めるのは注目の実力派俳優、福地桃子。舞台『千と千尋の神隠し』(24)などで主演を務め、iPhone 16 Proで撮影された是枝裕和監督の短編映画『ラストシーン』(25)でも絶賛を浴びた彼女が、本作では当て書きされたヒロインの香里を演じる。そして、『菊とギロチン』(18)などの演技で新人俳優賞を総なめして以来、『ナミビアの砂漠』(24)や連続テレビ小説『ばけばけ』(25)など活躍の場を広げる寛一郎が、香里と特別な絆を結ぶ健流を演じる。彼らのセンシティブな表現力は確実に観る者の胸を打つだろう。