『新聞記者』(19)、『ヤクザと家族 The Family』(21)の映画会社スターサンズと『日日是好日』(18)の大森立嗣がタッグを組み、実際に起きた事件に着想を得て、新たな物語として紡ぎ出す衝撃作。
一人息子を自分の分身として、忠実であることを強いる母親。そんな母からの歪んだ愛の形しか知らず、それに翻弄されながらも、応えようとする息子。社会との関わりを閉ざされ、築かれていく母と息子の共存関係が、ひとつの殺害事件を引き起こす真相を描く。
母親・秋子を演じるのは、長澤まさみ。今年で女優生活20周年をむかえる長澤が、役者として、一人の女性として、秋子というミステリアスな役柄に挑み、母親という存在の闇と奥深さを体当たりで表現している。17歳の周平役には、映画初出演にして初めてのオーディションで大抜擢された新人・奥平大兼。本作の演技が高く評価され、新人賞4冠を達成した。そして、秋子と内縁の夫になるホスト・遼を阿部サダヲが演じているほか、物語を彩る個性豊かな登場人物を、夏帆、皆川猿時、仲野太賀、木野花らが演じている。
既成の価値観では測れない親子のあり方を問いかける本作は話題を呼び、第44回日本アカデミー賞最優秀主演女優賞をはじめ、数々の賞を受賞した。