太平洋戦争末期に存在した「F研究」と呼ばれる“日本の原爆開発”。その事実を基に、時代に翻弄されながら全力で駆け抜けた若者たちの、等身大の姿を描いた青春群像物語。
監督・脚本は「ひよっこ」「青天を衝け」など多くの話題作を手がける名手・黒崎博。始まりは、黒崎が偶然目にした若き科学者がのこした日記の断片。そこには原子の力を利用した新型爆弾の開発という大きな任務に携わるかたわら、日々の食事や恋愛など、等身大の学生の日常が記されていた。長い年月と膨大なリサーチのすえ彼が書き上げたシナリオが、サンダンス・インスティチュート/NHK賞2015でスペシャル・メンション賞(特別賞)を受賞。このシナリオをもとにTVドラマが2020年に放映され、高い評価を受けてギャラクシー賞を受賞した。そして2021年、TVドラマとは異なる視点と結末で描き切る完全版がついに映画化。
10年間大切に温め続けたこの企画に共鳴し、豪華キャスト陣が集結した。極秘任務に携わる科学者の兄・修に柳楽優弥。戦地で心に傷を追った軍人の弟・裕之に三浦春馬。兄弟2人がほのかに想いを寄せる幼なじみの世津に有村架純。さらに、田中裕子、國村隼、イッセー尾形、山本晋也、そしてピーター・ストーメアが参加。音楽にはアカデミー賞5部門ノミネートの『愛を読むひと』のニコ・ミューリー、サウンドデザインに『アリー/スター誕生』のマット・ヴォウレスと、ハリウッドスタッフが続々と参加。日米合作のビッグプロジェクトとなった。さらに主題歌を、製作陣の熱い想いを受け止めた福山雅治が担当し、心に沁みるバラード「彼方で」が物語を深く彩る。
「いっぱい未来の話をしよう」と誓い合った若者たちの300日が、前を向いて生きるよう観る者を励ましてくれる、美しき感動作。