数千年後の未来、宇宙空間に進出した人類は、銀河帝国と、自由惑星同盟という“専制政治”と“民主主義”という2つの異なる政治体制を持つ二国に分かれた。
この二国家の抗争は実に150 年に及び、際限なく広がる銀河を舞台に、絶えることなく戦闘が繰り返されてきた。
長らく戦争を続ける両国家。銀河帝国は門閥貴族社会による腐敗が、自由惑星同盟では民主主義の弊害とも言える衆愚政治が両国家を蝕んでいた。
そして、宇宙暦8 世紀末、ふたりの天才の登場によって歴史は動く。
「常勝の天才」ラインハルト・フォン・ローエングラムと、「不敗の魔術師」と呼ばれるヤン・ウェンリーである。
ふたりは帝国軍と同盟軍を率い、何度となく激突する。
帝国暦488 年(宇宙暦 797 年)、 ラインハルトは門閥貴族連合との内戦に勝利し、名実ともに銀河帝国の最高権力者となる。しかし、自らの半身ともいうべきキルヒアイスを喪った哀しみは、彼の心に暗い影を落としたままであった。時を同じくして、自由惑星同盟では、救国軍事会議によるクーデターを鎮圧したヤン・ウェンリーが、名将としての声望をますます高めていた。しかし、権力に固執する同盟政府の政治家たちは、ヤンへの警戒心を強めていく。
翌年、銀河帝国軍はイゼルローン要塞の奪還作戦を開始した。過去も現在も難攻不落を誇る軍事拠点に対し、ケンプ提督率いる帝国軍は驚く べき攻略法をもって攻めかかる。それは、これまでの歴史にない戦闘の始まりとなるのであった。