スペンサーの山

グランド・ティトンの山のすぐ近く、スペンサー家の名を冠した山で、祖父は9人の息子を授かった。息子のひとりクレイ(ヘンリー・フォンダ)はオリビア(モーリン・オハラ)と結婚し、同じく9人の“家族思い”の子供に恵まれる。そんな一家の長男が高校を卒業し、もっと勉強したいと望む。だが、つつましい暮らしの一家にとって大学費用を捻出するのは大変なことだった。アール・ハムナー・Jrの小説に基づく本作は、そののち、TVシリーズ「わが家は11人」を生み出すきっかけとなった。デルマー・デイビスが監督する本作には喜びが満ちあふれている。フォンダとオハラが、ウォーリィ・コックス、ドナルド・クリスプ、ジェイムズ・マッカーサーたちキャスト陣の中で輝きを放っている。マックス・スタイナーの音楽が心に響き、野原や森が息をのむほど美しい。それらすべてが、人間の価値と夢を描くこの愛すべき物語をより一層引き立てている。