〈次世代のタランティーノ〉が放つ、ポップで、ダークなおとぎ話
「次世代のタランティーノ、現る!」と大注目された、アナ・リリ・アミリプール。2014年に長編映画監督デビュー作『ザ・ヴァンパイア ~残酷な牙を持つ少女~』がサンダンス映画祭で絶賛され、ゴッサム・アワードでユニークかつオリジナリティ溢れるセンスを発揮する新進映画監督に贈られるビンガム・レイ賞を受賞する。さらに、スキ・ウォーターハウスを主演に、キアヌ・リーヴス、ジム・キャリーが共演した監督第2作目の『マッドタウン』では、ヴェネチア国際映画祭審査員特別賞を受賞した輝ける才能だ。
その後、ギレルモ・デル・トロが企画・製作総指揮を務めたオムニバス作品「ギレルモ・デル・トロの驚異の部屋」に監督の一人として参加するなど、独自の道を迷いなく進み続けるアナ・リリ・アミリプールの長編映画監督第3作が遂に日本を来襲。起承転結のすべてが全く予測できないオリジナル脚本も、自ら手掛けた。スタイリッシュな映像に魅せられ惑わされるうちに、観る者の「いったいどこに連れて行かれるのか」という驚きと緊張が、興奮と悦びに変わっていく作品を完成させた。
ピュアだけどエキセントリック!超キュートな〈モナ・リザ〉を演じる
韓国の新たな才能とハリウッドスターの共演
モナ・リザを演じるのは、韓国人俳優のチョン・ジョンソ。村上春樹の短編小説の映画化として話題となった『バーニング 劇場版』を観て一目で惚れ込んだアミリプール監督からオファーを受け、本作でハリウッドデビューを果たした。2020年にNetflix配信映画『ザ・コール』に出演し、百想芸術大賞と釜日映画賞で最優秀女優賞を受賞。2022年にはNetflix配信ドラマ「ペーパー・ハウス・コリア:統一通貨を奪え」でメインキャラクターを演じ、さらなる人気を広げている。本作では、生い立ちと過去、特殊能力の理由──そのすべてが謎のエキセントリックかつミステリアスなモナ・リザを、いつの間にか熱いエールを贈らずにいられない超キュートでパワフルなキャラクターへと昇華させた。
モナ・リザをある計画に引き込むシングルマザーのポールダンサー、ボニー・ベルには、『あの頃ペニー・レインと』でアカデミー賞(R)にノミネートされ、ゴールデン・グローブ賞を受賞、近年ではNetflix配信映画『ナイブズ・アウト:グラス・オニオン』が評価されたケイト・ハドソン。スター俳優である彼女にとってチャレンジングな役だが、アミリプール監督の「とてつもない才能」に感服して出演を決めたという。
ボニーの息子チャーリーには、Netflix配信映画『アレックスとチュパ』のエヴァン・ウィッテン。幼くして人生と母親に怒りを抱えた少年が、モナ・リザと美しい絆を結ぶまでを情感深く演じ、観る者の胸を揺さぶる。モナ・リザを追いかける巡査ハロルドには、『ジェームス・ブラウン ~最高の魂(ソウル)を持つ男~』のクレイグ・ロビンソン。モナ・リザに恋する自称DJのファズには、『デッドプール』『マレフィセント2』のエド・スクライン。
撮影は『ミッドサマー』『ヘレディタリー/継承』のパヴェウ・ポゴジェルスキ。不穏な月が微笑むネオンカラーの街を、ポップでエキサイティングなおとぎ話の舞台としてスクリーンに出現させた。