発禁縛り夫人

これは、名人と言われた縄師の流転の物語である。縄師とは縄一本で女体を縛りあげ、その絶妙のテクニックで責めながら快感の絶頂へ誘い込むという業師のこと。彼はそのテクニックで女を殺してからプッツリ足を洗って旅に出た。そして女郎屋の用心棒にまでなり下がったが、その町でふと知り合った女に心を惹かれるようになった。女は町のボスの囲い者。男は成り上がり者だが女は名家の令嬢だった。その女から縛りの責めをせがまれたとき彼はむかし縛りの喜悦のなかで死んだ女のことを思った。愛しているこの女も同じ運命になるのでは…。だが縄師は二人の悦楽のために縄を手にした…。これは宗豊のシナリオを鋭才・向井寛が意欲を傾注して演出した異常な情痴ドラマである。