作家生命を賭けた推理小説「遠い記憶」を、地方紙の金沢日日新聞に連載している杉本。ある日、新聞社に「『遠い記憶』が面白いので読んでみたい」と購読を希望する手紙が、東京の芳子という女性から舞い込む。東京の女性がどこで地方紙の小説を読んだのか、しかも連載1回目からではなく途中から…。杉本の胸にささやかな疑惑が湧き上がる。アシスタントのふじ子は、身分を偽り東京で芳子と対面。購読希望はまったくのでたらめではなさそうに思えたが、やがて芳子の購読打ち切りを告げる手紙とともに、杉本の疑念はある恐ろしい推理へとつながっていく…。